Q.最近はトレードに消極的で、成功例が少ないのはなぜですか

 A.「主力」FAで選手層薄く チーム愛で残留した選手に誠意も

 2000年以降に広島がトレードで獲得した選手は12人。1980年代や90年代に比べ、ほぼ半減している。93年のフリーエージェント(FA)制度の発足を契機に、「簡単に選手を手放せない状況になった」と鈴木清明球団本部長。慢性的な選手層の薄さが、トレード戦略に大きな影を落とす。

 かつての広島は大胆なチーム改革に取り組んだ。象徴的なのは、3年連続最下位に終わった74年のオフ。主力だった安仁屋宗八、大石弥太郎両投手をはじめ7選手を交換要員に、大下剛史内野手や宮本幸信投手たちを獲得。75年の初優勝につなげた。

 77年オフに南海から金銭で獲得した江夏豊投手は79、80年の連続日本一の立役者に。その江夏投手や水谷実雄外野手、高橋慶彦内野手たち主力選手も後にパ・リーグに移籍した。球団との確執が一因のケースもあったが、トレードを有力な補強手段として活用してきた歴史がある。

 ■昨年打診30件

 最近でも他球団からのトレードの打診は減っていない。球団によると昨年は約30件あったという。「年俸が安く、潜在能力は高いとして獲得を希望される若手は多い」。川端順編成グループ長は複雑な表情で説明する。

 こうした状況がありながら、なぜ最近は積極的にトレードを仕掛けないのか。鈴木球団本部長は「以前との決定的な違いは、FA制度の存在」と言い切る。

 戦力的に厚い分野を削り、弱点を補うのがトレードの目的だ。FA制度が導入された93年以降、広島からは3人の4番打者やエースたち6選手が国内外へ移籍。チームの幹となる主力選手を失い続ける中で、枝葉である控え選手を交換要員とした移籍交渉は極めて難しくなった。

 黄金時代には、力の落ち始めたベテランをトレード要員にした。「FA権を使わずに残留してくれた人を、簡単に切り捨てることはできない。残留を選ぶ選手がいなくなる」と鈴木球団本部長。チームへの愛着を口にした選手にドライな対応はしない方針だ。

 戦力強化を意図しないトレードはある。首脳陣の構想から外れた中堅選手に、新天地で活躍の場を与えるケース。ここ10年でも、球団が戦力面よりも選手の希望を優先して、移籍に応じた例は少なくない。現役生活に悔いを残させない広島独特の発想といえる。

 ■働き場与える

 今季は菊地原毅投手がオリックスから復帰。昨年11月の入団会見では「パ・リーグでの経験を生かしたい」と意欲を見せた。獲得を申し入れたのは広島。中継ぎ強化への期待を担うと同時に、広島へ入団し、育てた選手に最後の働き場所を与えたいという親心も透ける。

 昨オフはFA市場に初参戦したが、選手をドラフトで獲得し、自前で主力に育て上げる基本方針は堅持する。トレードを補強の柱に据える土壌は、しばらく整いそうにない。(加納優)

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Last-modified: 2011-02-05 (土) 22:47:09 (3207d)