Q.低反発の統一球の導入は広島に有利に働きますか

 A.データ上はメリット 「過剰に意識」は悪影響の恐れ

 1軍公式戦の使用球が今季から、ミズノ社製の低反発ボールに統一される。既にキャンプで使用している選手の大半は「従来より飛ばなくなった」と指摘。本塁打への依存度の低さや外野守備力の高さなどを考慮すれば、データ上は「広島に有利」か。

 中盤に差し掛かった春季キャンプ。昨季、初の2桁となる12本塁打を放った広瀬純外野手は言う。「昨春は当たり損ねでも柵越えがあったけど、今年はない」。特にバットの芯を外した時に「飛ばない」「押し込まれる感じがある」と口にする選手は多い。

 ミズノ社によると、統一球を一定の条件で打ち返した場合、飛距離は従来より1メートル短くなる。昨季と比べて本塁打が減ると仮定すれば、攻撃面で最も影響が少ないのは広島だ。

 昨季の広島の本塁打はリーグ最少の104。本塁打による得点が総得点に占める割合は27・9%で、最も低い。リーグでは巨人が49・9%と突出し、他の4球団も30%台。本塁打以外での得点は430点。阪神(455点)に次いで多く、今季は小技や機動力を絡めた広島の特徴がより生きる可能性がある。

 ■外野に見せ場

 フェンス際で失速する打球が多くなれば、外野陣の守備力の重要性も増す。広島は昨季、広瀬と赤松真人外野手がゴールデングラブ賞を受賞するなど、12球団屈指の外野守備力を披露。赤松は「外野手としての見せ場が増えると思う。楽しみ」と腕をぶす。

 本塁打の減少は投手に「追い風」となる。増える一発に頭を痛めた球団が低反発球の採用を進めた結果、2006年以降の本拠地での被本塁打は徐々に減っていた。マツダスタジアム元年の09年は52本まで減ったが、今季導入される低反発球とは別のミズノ社製ボールに移行した昨季は90本に急増。投手陣の力量不足に加え、ボールの違いが「投壊」に拍車を掛けた面も否めない。

 ■「滑る」の声も

 もう一つ注目されるのは、ボールの材質や縫い目の幅、高さの変化が投球にもたらす影響だ。前田健太投手は「それほど違和感はない」とし、マイペースでの調整を継続。石原慶幸捕手も「現時点では、変化球の曲がり方などが変わった投手はいない」とみる。

 一方で、投球の際に「滑りやすさ」を指摘する投手も。山内泰幸投手コーチは「握った感覚は個々の選手で違う。ただ、投手心理としてボールが滑る感じはマイナスになる」とし、個別に対応策を求める。

 先入観がもたらす悪影響を心配する声もある。野村謙二郎監督は「打者は、飛ばないと思いすぎると結果が悪い方に出る場合もある。意識のしすぎはよくない」。主砲の栗原健太内野手も「バットの芯で捉えれば、今まで通り飛ぶ。考えすぎても仕方がない」。より確実性の高い打撃を今キャンプの課題に据える。

 投手を中心に守り勝つ野球を掲げる野村カープにとって、「投高打低」の傾向が強まるのは望むところ。他球団の攻撃力への具体的な影響に加え、早期に統一球の特性に適応するしたたかさも、「逆襲」への鍵となりそうだ。(加納優)


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Last-modified: 2011-02-16 (水) 00:40:41 (3220d)