コイ7人指名、育成でも2人 ドラフト会議 '10/10/29

 28日に東京都内であったプロ野球のドラフト会議で、広島は1位で、早大の福井優也投手を指名した。愛媛・済美高時代の2004年には、選抜高校大会優勝投手となった即戦力右腕の交渉権を得た。

 2~4位は即戦力左腕が並んだ。2位は速球に威力がある中村恭平投手(富士大)。3位は巧みな投球術が光る岩見優輝投手(大阪ガス)、4位は187センチの長身から投げ下ろす金丸将也投手(東海理化)を指名した。

 5位は、昨夏の全国高校選手権を制した愛知・中京大中京高の磯村嘉孝捕手。6位は潜在能力の高い中崎翔太投手(宮崎・日南学園高)。7位は四国・九州アイランドリーグの徳島の弦本悠希投手をそれぞれ選択した。

 育成ドラフトでは、1位で山野恭介(大分・明豊高)、2位で池ノ内亮介(中京学院大)の両右腕投手を指名した。

 広島など6球団が競合、球速150キロを超える速球が魅力の大石達也投手(早大)は西武、4球団が指名した斎藤佑樹投手(早大)は日本ハムが交渉権を獲得した。早大は、史上初めて3投手が1位指名を受けたチームとなった。しかし、リーグ優勝が懸かる30日からの早慶戦に集中したいとの理由で、野球部は記者会見を開かなかった。

 最速157キロの直球を誇る大学ナンバーワン右腕の沢村拓一(ひろかず)投手(中大)は巨人が単独で指名した。中日は競合を避けて、先発完投型の左腕、大野雄大投手(仏教大)を単独指名した。

 ▽福井、即戦力の期待 「高評価に感謝」

 1位指名の福井は斎藤、大石とともに30日からの東京六大学リーグ戦に集中するという理由で、会見や取材には応じなかった。大学を通し、「高い評価をいただき深く感謝している。今後はリーグ戦が終わってから応武監督、両親と相談しながら決めたい」とコメントした。

 ▽斎藤・大石と競い合い成長

 最速152キロの速球と切れ味鋭い高速スライダーを武器に活躍した。秋季リーグでは4戦2勝で、通算11勝。早大投手陣を支えている。

 愛媛・済美高では2004年の選抜で優勝投手に。翌年のドラフトで巨人から4位指名を受けたが入団を拒否。1浪して早大に入学した。

 ドラフト前には「2人に負けないよう自分に自信を持ってやりたい」と語っていた。リーグは違うが、4年間、競い合った仲間はライバルとなる。「3人で刺激し合い、レベルアップしたい」と見据える。

 慶大戦に勝てば、42度目のリーグ優勝。大学野球の集大成を飾って新たな道に進む。(下手義樹)

2位中村、飛躍の予感 '10/10/29

 ▽153キロ左腕歓喜 「信じられない」

 福岡から小学4年で神奈川へ引っ越し、高校は島根、大学は岩手(花巻市)と各地を転々としてきた中村。次の行き先は広島に決まった。「信じられない。高い評価をしてもらい、うれしい」。驚きの2位指名だった。

 無名の左腕が脚光を浴びたのは大学3年春の全日本大学選手権。149キロを記録し、夢だったプロへの道を切り開いた。今年の6月には153キロをマーク。さらに評価を上げた。

 島根・立正大淞南高時代から身長は6センチ伸び、体重は12キロ増えた。球速は20キロ以上アップした。大学通算5勝だが、青木監督は「体が一回り大きくなればまだまだ伸びる」と太鼓判を押す。

 大学と同じ赤のユニホーム。そこには「切磋琢磨(せっさたくま)できる関係になれば」という同年代の前田健がいる。「あこがれの存在」という大野投手コーチもいる。

 「先発で頑張りたいけれど、必要とされるところならどこでもやる」と力を込めた。(友岡真彦)

 ▽147キロ左腕 3位岩見が自信

 3位指名の岩見は、兵庫県西宮市の大阪ガス今津総合グラウンドで会見に臨んだ。「広島は練習熱心なチームという印象。名前が呼ばれた時は正直、うれしかった」。時折、笑顔を見せながら、淡々と胸の内を語った。

 変則フォームから繰り出す最速147キロの速球で、昨秋の日本選手権では優秀選手賞を獲得。「セールスポイントは負けん気」と、マウンド度胸にも絶対の自信を持つ。ダルビッシュ(日本ハム)や涌井(西武)は同学年。「今はレベルが違うが、努力して少しでも近づきたい」と早くも闘志を見せた。

 頭の中は、30日開幕の日本選手権のことで占められている。「最後にチームに貢献して終わりたい」。即戦力左腕の評価を証明して、プロの世界へ飛び込むつもりだ。(小西晶)

4位金丸「シュートに自信」 '10/10/29

 4位指名の金丸は「まさか信じられない。全く実感がわきません」と驚いていた。

 187センチの大型左腕。角度ある直球は今季、球速150キロに到達した。さらに長い腕を生かしたシュートには「一番のアピールポイント」と自信を持つ。

 宮崎・佐土原高から進んだ愛知・中部大で注目され、2年前のドラフトでも候補に挙がった。待ち望み「夢だった」というプロへの道。「息の長い投手として活躍したい」と興奮は冷めなかった。

 ▽5位磯村、先輩堂林に心強さ

 「また先輩と野球ができる。それが何よりうれしい」。5位指名の磯村は、昨夏の甲子園優勝時にバッテリーを組んだ堂林のいる広島からの指名だけに、顔をくしゃくしゃにして喜んだ。

 堂林に電話で報告すると、「しっかり練習するチーム。絶対うまくなるよ」と背中を押された。

 内野手に転向した堂林の球を受けることはないが、広島には今季投手3冠の前田健がいる。「早く前田さんの球を受けたい」と胸をときめかせた。

 ▽6位中崎、西武の兄との対決を夢見る

 宮崎県日南市内の野球部寮。中崎は期待と不安を胸に、テレビを見つめた。6位で名前を呼ばれ、「びっくりした」と90キロの巨体を震わせ、童顔をほころばせた。

 「日本を代表する投手になる」と目標を明かす。2年前に西武に1位入団した左腕の兄雄太と「日本シリーズで投げ合いたい」と、壮大な夢も描く。

 30日からは同市内で秋季キャンプが始まる。「刺激をもらって、プロの体づくりに励みます」と、大きな声で意気込んだ。

 ▽7位弦本、148キロ直球武器「抑え目指す」

 「自分の名前を聞いて鳥肌が立った。宙に浮いているような不思議な感じ」。テレビで指名を見届けた7位の弦本は、感無量の様子だった。

 徳島・生光学園高出身。大商大を中退して徳島入りした。21歳の右腕は2年目の今季、最速148キロの直球を武器に抑えとして活躍。リーグ2位の13セーブを挙げた。「練習の厳しいカープでどこまで自分を高められるか楽しみ」と話した後、「抑えを任せられる投手になりたい」と目標を掲げた。

 ▽山野と池ノ内、右投手を指名 育成枠

 育成枠では右投げの投手2人が指名された。

 山野は180センチ、82キロ。持ち前の制球力を武器に、選手登録を目指す。「指名されてほっとした。もっと直球に磨きをかけて、とにかく早く1軍に上がりたい」と抱負を語った。

 175センチ、75キロの池ノ内は粗削りだが、最速148キロの球威を誇る。同学年の前田健を「尊敬する選手」に挙げ、「早く支配下登録されて、同じ舞台に立ちたい」と話していた。

福井、大きなプラス」 野村監督 '10/10/29

 野村監督の表情は穏やかだった。「いろいろなタイプの投手を指名できた。いいドラフトだったと思う」と力を込めた。

 フロントから1位の決定権を委ねられ、6球団が競合した大石を敢然と指名。初の抽選を外して「ショックだった」と悔しさをのぞかせたものの、「福井君は高校、大学と強いチームの中で競い合って成長した選手。うちのチームにとって大きなプラスになる」と気持ちを切り替えた。

 福井を含め、即戦力候補として大学・社会人の5投手を指名。「課題は投手力のレベルアップ」と繰り返した指揮官の口調は、期待感に満ちていた。

 ▽カープ指名7選手横顔

 福井優也(ふくい・ゆうや)1988年2月8日生まれ。岡山県西粟倉村出身。腕の振りがよく、縦のスライダーが武器。大学通算11勝2敗。

 中村恭平(なかむら・きょうへい)1989年3月22日生まれ。福岡市出身。柔らかなフォームで、140キロ台後半の直球が魅力の左腕。

 岩見優輝(いわみ・ゆうき)1987年1月25日生まれ。大阪府門真市出身。左腕からテンポよく投げ、早いカウントから追い込む投球術を持つ。

 金丸将也(かねまる・まさや)1987年3月19日生まれ。宮崎市出身。187センチから投げ下ろす最速150キロの速球が武器。中継ぎ候補。

 磯村嘉孝(いそむら・よしたか)1992年11月1日生まれ。愛知県豊田市出身。スローイングがよく、パンチ力もある。将来の正捕手候補。

 中崎翔太(なかざき・しょうた)1992年8月10日生まれ。鹿児島県曽於市出身。肩とひじが柔らかく、威力ある直球は打者の手元で微妙に動く。

 弦本悠希(つるもと・ゆうき)1989年6月16日生まれ。大阪府和泉市出身。腕の振りがよく球速140キロ台の直球が武器。度胸もある。

 ▽危機感にじむ大量補強 大学・社会人から5投手

 広島の今ドラフトを象徴するキーワードは「危機感」だろう。1位の競合は3年ぶり、大学・社会人から5投手を指名したのは実に38年ぶり。今季の投手陣の不振を受け、従来の素材重視から即戦力重視へと大きくかじを切った。

 1番人気が予想された大石の獲得を目指したのは、そんな決意の表れ。抽選を外したのは時の運だが、再び競合覚悟で臨んだ福井を単独指名できたのは「予想外の幸運」(球団関係者)だったという。

 Sランクに位置付けていた福井をはじめ、左腕では最上級の評価だった中村と岩見の指名にも成功。さらに金丸、弦本と中継ぎの即戦力候補を加えた。「高校生の投手と捕手も狙い通りとれた点も含めると、100点以上のドラフトではないか」。松田オーナーの言葉にも満足感が漂う。

 防御率4・80。球団史上最悪とも言える「投壊」を背景にした大量の即戦力補強は、現有の若手と中堅への起爆剤としての側面も強い。

 「どれだけの新人が開幕1軍に入れるかと同時に、どれだけの選手が危機感を抱いて奮起できるかが大事」と松田オーナー。即戦力を熱望した首脳陣の育成と運用の手腕も、今季以上に問われる。(加納優)

ChuGoku


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Last-modified: 2010-10-29 (金) 07:31:53 (3182d)